(2/2)バンド海外ツアーは働きながらできるのか?deepsea drive machine西氏トーク「WORK × BAND / Music career while working」

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後半は、deepsea drive machineの西伸也(にし・しんや)氏のトーク内容をレポート。

バンド活動では、国内ライブはもちろん海外ツアーにも参加。さらに、音楽レーベルParabolica Recordsの代表として、ツアー企画や日本でのCDリリースも行い、日本とアジアの音楽シーンを繋ぐ役割も担っています。

 また、「仕事」としては、ローソンHMVエンタテインメントを経て、現在はフェンダーミュージック株式会社で働いています。

ライブ、ツアー、レーベル、販売、企画、楽器販売など、仕事とバンドの双方で様々な切り口から音楽にたずさわってきた西氏。自身の音楽活動についてだけでなく、仕事と音楽をきちんと両立させていくためのコツについてもお話いただきました。

※次回開催予定イベント(参加受付中)

【座談会】働きながら音楽活動をする 第4回<神田編>ゲスト:坂口修一郎 テーマ「働きながらバンドってできるの?」

■開催日時

2017/11/3 (金祝)open 14:45 start 15:00(close 16:20)

■場所 

GOOD MORNING CAFE 錦町(東京都千代田区神田錦町3-20 錦町トラッドスクエア1F)

■ゲスト

坂口修一郎(Double Famous/BAGN Inc./GOOD NEIGHBORS JAMBOREE)
斎藤寿大 (Pepe California/ Saito & Co.)
山㟢 廣和 (toe/Metronome Inc代表)

■お申込
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※「働きながらバンドってできるの?」主催者としての思い

kyoto-antenna.com

deepsea drive machine 西氏「WORK × BAND / Music career while working」

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※西氏のスライドより抜粋

 

(以下、西氏のトーク内容書き起こし)

皆さんこんばんは。自分は、deepsea drive machineというバンドのベース、そしてParabolica Records代表の西伸也と申します。

バンド活動自体はずーっと98年から続いています。そもそもバンドの辞め方がわからないという。

自分、いま41歳で、バンドのメンバー平均だいたい37歳ぐらい。もちろんメンバーの出たり入ったりはあるんですけども、ふと気づいたときにはバンド始めてからけっこう時間が経ってました。

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よく周りから言われるのが「バンドまだやってんだ」とか。そういうことは半分冗談でも言われるんですけども、まあ、ほんとに自分でも、メンバーの誰かが死ぬまで続けて行けんじゃないのかな、っていうぐらいの気持ちです。

なので、今日話すにあたって、そもそもの自分の立場の大前提として「バンドは働きながら行うべき」と僕は思っています。今日の話は基本的にこの立場に基づいて話していこうと思っていますのでお付き合いください。

肩書きで「Parabolica Records代表」と書いてあるんですけども、これは自分がやっているインディーレーベルです。海外のバンドの曲をよく出しているんですけども、自分ひとりで運営しています。

それ以外の個人的なこととして、妻子有り、持ち家はマンション派ですね。自分は結構ものぐさで、家のメンテナンスとか全くしないんで、マンションのほうがおススメだと思ってます。

あとは会社員としてなんですけども、モデレーターの鈴木さんと同じ職場だったんですね。ローソンHMVエンターテイメント。そこで15年ほど勤めた後で、フェンダーミュージックで今は働いています。

deapsea drive machineについて

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※西氏のスライドより抜粋

まず、バンドのほうの紹介から。

一番左の画像が僕らのアー写ですね。98年結成で平均37歳。柏市出身です。で、真ん中の画像が、いままでdeepsea drive machineで出した音源。活動期間が長すぎて諸説あるので5枚じゃないかもしれないですが、僕は一応5枚だと思っています。

海外ツアーもちょこちょこ行かせていただいております。アジアが中心で、タイのバンコク、マレーシアはクアラルンプールという感じで、年1回ぐらいで行っているかな、という感じですね。

Parabolica Recordsについて

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※西氏のスライドより抜粋

モデレーター鈴木:いま会場でかかっているBGMが、1作か2作前の曲ですよね。

そうですね、2個前のアルバムの曲です。今かかっているCDもそうなんですけど、自分たちのCDを自分のレーベル「Parabolica Records」から出しています。

自分たちのだけじゃ飽き足らず、例えば今日この会場にも来てもらっているマレーシアのmutesiteをはじめ、出会ったアジアのバンドの国内盤CDを出しています。そしてそのアーティストたちのツアーも組んだりしています。

こないだタイの「STAMP」っていうアーティストが日本来た時も、自分がそのツアーを組みました。けっこう大盛況だったので、やって良かったなと思っています。

こういったことをParabolica Recordsではやっております。

「Parabolica」ってどういう意味かというと、もともと自分はカーレースが好きなんです。知っている人は知ってるんですが、イタリアのモンツァっていう高速サーキットの名物カーブに「Parabolica」というところがあって、ここが結構「度胸がいる」って言われているところなんです。

Parabolicaの後にながいストレートがあるんですけど、このカーブでアクセルを踏めた者だけが良いタイムを出せると言われてます。なので社訓は「コーナーギリギリを攻めよ」ってことですね。

まあ、正直コーナー攻め過ぎてクラッシュしている案件も多々あるんで、赤字になっているツアーもあるんですけども、Parabolica Recordsはリスクテイクするっていうところが強みじゃないかなと思っています。

リスクテイクするっていうのは、普段自分が会社員として安定した収入があるんで、それがあるからこそコーナーでアクセルを踏み込んでいけるのかな、って思っています。

というのも、例えば自分が「アルバイトで月15万円ぐらいしか稼いでいない」とか「音楽だけでギリギリで何とかやっている」という場合、今日ツアーで来てもらっているmutesiteとか、こないだのSTAMPさんとか、売れるか売れないかわからないものに関しては、正直手を出せないと思うんですね。でも、ここでガーンとアクセルを踏んでいけるのは、安定した仕事があるからかな、という風に思っています。

2017年のバンドとレーベルの活動

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※西氏のスライドより抜粋

会社員として働きながらParabolica Recordsと自分のバンドをやってますけど、今年はどんなことをやってきたかというのをまとめ上げました。

まず1月は、自分のバンドでマレーシアツアーに行きました。今日来てもらっているmutesiteと一緒にやったもので、彼らにツアーを組んでもらいました。

3月、今度はmutesiteの日本盤CDをParabolica Recordsから出しました。

そして4月、タイのSTAMPさんの来日ツアーを行い、それと同時に国内盤CDが発売しました。

5月はSTAMPの来日ツアー第二弾。彼が日本が好きになっちゃってもう1回行きたい、ってことで第二弾やらせてもらいました。

ついこないだの6月は、Summer DressとHariguem Zaboyっていうタイのバンドの来日ツアーで四か所を組ませてもらいました。

そして7月はですね、いま来てもらっているmutesiteの来日ツアーもあるんですけども、そのちょっと前に、Cat Foodivalというタイで行われる食と音楽のフェスに、ライブハウス「FEVER」のオーナーである西村さんがカフェを出店するということだったので、そのお手伝いも兼ねて行ってきました。

こういったことをすべて実施するのに、基本的にはそれぞれ半年から数か月前ぐらいから仕込みが必要です。なので、「バンドとレーベル両方に割く時間を、サラリーマンとして働いている中でいかに作っていくか」というのが、自分の中で常にテーマになっています。

アーティストの夢をサポートする、というレーベルの役割

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※西氏のスライドより抜粋

その前にですね、じゃあなぜレーベルをやってんのっていう。正直儲かってないですし、レーベルで食っていこうとハナから考えてはいません。なんでレーベル業務やってんのかっていうことを、ちょっと今回STAMPさんとの出会いを振り返ってみようと思いました。

一番左側なんですけど、見覚えある方いるかもしれません、これサマソニの会場ですね。幕張メッセとスタジアム行き来するシャトルバスがあるんですけど、そのバスの中で、サマソニをプライベートで見に来ていたSTAMPさんに偶然出会いました。

その時は、この人がタイで有名な人とか、歌手やってるとか全く知らないで、ほんとに友達の友達みたいな感じで紹介してもらって。「オレ、STAMPっていうんだ」「へえ、よろしく」みたいな感じで話してたんですけど。

そのあと、プライベートでタイに行った際に、テレビだったり、街なかの看板とかにSTAMPさんがいたりとかするんですね。「あれ、もしかして彼は有名な人なのかな」とその時はじめて気づきました。

そして、念のため確認しようかなと思ってYouTubeで見たら、STAMPさんの動画は再生回数40,000,000回超えでですね。

あっ、この人はスターなんだな、って。

その後、タイ在住の共通の知人を介してParabolica RecordsからCDを出したいという話をラッキーにもいただきまして。自分がタイに出向いたときや、STAMPが日本に旅行で来たときなどにミーティングを重ねて、『STH』というCDをリリースすることができました。

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こうやってCDを出したのとあわせて、来日ツアーを4月と5月で行いました。真ん中のこの写真が、タワレコ渋谷のインストアライブですね。このときに大体お客さんが200人ぐらい来てくれて、最終的にCDがその日だけで100枚以上売れました。

モデレーター鈴木:すごいっすよね

ええ、大盛況でした。

STAMPは、世代的には僕よりもちょっと下ぐらいなんですね。タイで日本のカルチャーがすごいイケてたころ。たとえばチャゲ&アスカの曲とか、みんなJ-POPを聞いてたような時代の人。あと日本のゲーム、もちろんドラクエとかやっていて、日本大好き、っていうカルチャーの中で育った方々なんですね。

そういう人たちにとって、日本で、ましてや渋谷のタワレコのインストアができるというのは、もう夢の一つだったりもします。今回のCD発売、来日ツアーを組んだことで、STAMPからは「今日、夢が一つかなったよ」ということを言われました。

大げさにいうと、こういうアーティストの夢をサポートしてあげることができるのがレーベルの良さなのかなと思います。

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※西氏のスライドより抜粋

その先に、結局僕がやりたいことというのは、スライドの一番右ですね、日本のバンドとアジアのバンドがお互いをぐるぐる行ったり来たり、呼んで呼ばれて、という関係ができればいいなと思っています。

というのもやっぱり、バンドをやってる以上、海外に出てやってみたいというのは、バンドとしてのある意味本望だと思うので、ここに将来的にはつなげていければと思います。
今度はSTAMPに日本のバンドをタイに呼んでもらって、っていう関係を今うまく作れているので、今後も繰り返していきたいなと思っています。

仕事もバンドもきちんとやりたい、と思ったきっかけ

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※西氏のスライドより抜粋
これは働くきっかけですよね。結局なんだかんだ言って、Parabolica Recordsとか、deepseaだとか言いつつも正社員として働いていることの、ほんとの最初のきっかけの部分です。

学生の頃って、卒業旅行なんかで海外によく行かれると思うんですけども、僕もまさにバンコクのカオサンストリートに行ったことがあります。

そのころ、安宿に泊まるのがけっこう流行ってまして、そういうところに行くとだいたい日本人宿みたいなのがあるんですね。そこに行くと日本人で長老みたいな人がいて、「もう半年も日本に帰ってないよ」「どこどこのすごい秘境に行ったよ」とか、すごい自慢しあっているようなコミュニティがあるんです。

でもみんな口だけで、なんもやってないんですね、そういうところ沈んでいる人たちは。

僕はそういうのをみて「お前ら働けっつうんだよ」って思ったので、卒業後、海外ウロウロしている先輩を見て、こうなるまいと実感して、きちんと働くことを決意しました。ただ、働きながらもバンドもちゃんとやる、という思いにもなりました。

音楽活動しながらきちんと働くための仕事選び

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※西氏のスライドより抜粋

音楽活動をしながらの仕事選び、ということなんですけども、これはあくまで僕個人の考えです。

1番、起業したいわけではない。

まず、自分の性格もあるとは思うんですが、ここにいる皆さん全員が起業したいわけじゃないよね?サラリーマンとしてバンドをやっていく選択肢もあるよね、ってことです。

自分はサラリーマンとしてバンドを行うことを選択しました。というのが、先ほども言ったように、Parabolica Recordsにはやるかやらないか判断に迷うような案件がかなり入って来るので、そこでリスクテイクしたいと思った時に、あえて起業するっていうことは、自分の中でちょっとバランスが難しいなと思いました。

そのかわりサラリーマンになれば、Parabolica Recordsだったりdeepseaとかでガンガンリスクをとっていけるのがメリットですよね。

そして2番。どうせ働くならバンドに活かせる仕事。

皆さん、ちゃんとお仕事されているのでご存知だと思うんですけど、ラクな仕事なんてないですよね。同じ量の汗を1リットルかくんだったら、その仕事がなるべく自分がやってる音楽活動と陸続きのところにある仕事をしたいなと思っていました。

なので、ローソンHMVエンタテイメントで働くきっかけをもらったので、音楽業界に滑り込むことになった、ということですね。

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あとは、3番目、その都度目の前に現れてくる選択肢を誤らない、ってことですね。

自分は元々、なんというか感情や勘で動くタイプですし、理論とか数値を見せられて納得する人だけじゃないと思っています。とはいえ、そのなかでも目の前の選択を誤らないというのは一つポイントかなと思っています。例えば、バンドしながらアルバイトがいいのか、正社員がいいのか、とかですね。

自分が入社した時、仕事で顧客対応をする際に、日本語のみなのか、英語対応ができるのかで時給が違うんですよね。英語対応のほうが当然高いので、そこで自分は迷わず英語対応をするようにしていました。

あとは、昇進のスピードが実際違ったりするのが、店舗勤務か本社勤務かっていうところですね。働く会社が同じであっても、勤務する場所によって昇進スピード違うということもあります。

要は選択肢が目の前に出てきたときに、どっちで働く、何の仕事をする、という1個1個の選択を見誤らないということ。これはけっこう、地味ですが重要なポイントだと思っています。

同じように、有休を使いやすい、使いにくいっていう部署もあると思うんで、そのあたりの見極めが重要なのかなと。あと、バンドを続けていくうえでポイントなのが、遠距離の転勤が無いってところかな。

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西氏が関わってきた「バンドに還元できる仕事」

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※西氏のスライドより抜粋

バンドに還元できる仕事を選択してきた自分の振り返りですね。

2001年HMVジャパン。ここで音楽関係の仕事に就くことができました。そのあと、会社自体がローソンに買収されるという出来事を経て、2011年にローソンHMVエンタテイメントということになりました。

もちろんここでも同じようにCDであったり書籍の販売はしていたんですけども、CDのマーケット、最盛期だいたい6,000億円ぐらいありましたが、それがたぶん今ですと3,000億切ってるんですね。

マーケットが半分以下になっているということと、デジタル化されていく中で、CDの販売というビジネスをHMVタワーレコードの大きさの組織でやっていける時代っていつまで続くんだろう?という漠然とした不安がずっとありました。
デジタル化されないものを次の職にしたいな、と思い続けていました。それで今回、2016年からなんですけれども、フェンダーミュージックに転職しました。

その時思ったのが、たとえばギターの弦のザラッとする手触り、この辺はいつになってもデジタル化されないものだと思います。ギターに触った人は、「自分の一生の相棒になるんだ」と思うようなものだし、そういった文化を大切にできる企業に就職できて、よかったなと思っています。

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※西氏のスライドより抜粋

で、バンドに還元できる仕事。これ、HMV時代に何やってきたか、ということですと、たとえば今日来ている武田君のLITEのインタビューやりましたよね。

LITE武田氏:(スライドに書かれた)「先輩」いらないと思います。

(会場笑い)

こうやって周りのバンドへの、おこがましいですがサポートや還元もすることができたので、HMVで働いていた意味もあったし単純に面白かったなって思っていて。

右側だと、the band apartの木暮くんと話すきっかけがありまして。
オンライン英会話レッスンのサービスがあるんですけど、その企業のプロモーションで英語ができる人が必要ってことでthe band apartの木暮くんを選んで、インタビュー記事にしました。

彼がどうやって英語を学んで、海外でツアーしていたのかを語ってもらい、皆も英語で話したいんだったらオンライン英会話に入ろうぜ、みたいな企画で、クライアントの宣伝としてはもちろん、バンドの露出にもなって楽しかった仕事の一つですね。

こうやって振り返ると、バンドに還元できる仕事っていうことで、deepseaやParabolica Recordsで音楽を作ってCDを出す、そして自分で働いてきたローチケ、HMVでその音源の販売も経験できた。音楽業界の川上から川下のところまで見ることができたなと思っています。

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※西氏のスライドより抜粋

現在自分はギターというツールを販売する側、みんなが音楽を作るときのパートナーになるものを生み出す会社に勤めているので、ここからどうやって、みんながいるバンドのシーンや、自分の周りの人たちを巻き込んで恩返ししていくかっていうのが、自分の次の課題だと思っています。

これについては今後じっくり周りに波及させていければな、と思っています。

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どうやって働きながらライブとツアーとレーベルの活動を行っているか

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※西氏のスライドより抜粋
どのぐらいライブやツアーやってんのかなというと、今deepsea drive machineだとライブ本数が月1回から2回。海外ツアーは、正直僕らレベルでは、はっきり言って年1回です。その1回でで5日間から1週間ぐらい行くのが限界かなと思っています。
でも、まあそれぐらいはなんとか行けてます。

そしてParabolica RecordsのほうではCDのリリース。これはもう自分次第なんですけど、だいたい平均で年間2枚から3枚出しています。
あと来日ツアーの企画。これは、頼まれると増えてしまうこともあるんですけど、だいたいガッツリやってるのは、年間で4本から5本ぐらいですね。

いま、この仕事量であれば、できてます。正社員として仕事をしながらもこなせています。

じゃあ、どうやってやっているのか自分なりのコツをあげてみます。

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※西氏のスライドより抜粋

まず1番目。自分が常に思っているのが、結局仕事量は減らないですよね。お仕事されている方は、自分が歳をとればとるほど、仕事の量や責任は増えこそすれど減ることはないんじゃないかな、というのは、どこの会社でも同じかなと。

それならもう、仕事の量が減らないのであれば、自分で自由に使える時間を作っていくしかないかなと。

自分、家が松戸なんですけど、会社まで1時間半片道かかっていて、往復で3時間。週でいうと計15時間。通勤時間はバンドとParabolica Recordsに使う時間、というふうに割り切っています。

例えば、その時間を使って、今回来てもらっているmutesiteのアンソニーに「どこ泊まるの?」とか「何か所でやりたい?」とか、そういうバンドとの連絡をとったり、ツアーの日程調整をする。

あとは、過去に出したCDの売り上げがこれだけあったからギャラをお支払いしますね、というのをSTAMPさんに連絡したりだとか。そういう時間にあててます。

2番目。
仕事に関しては止めないようにしてるんで、海外ツアー中だろうと国内ツアー中だろうと、必ず仕事用PCは持っていきます。たとえば、こないだのマレーシアのツアーのときも基本的に同じ姿勢です。僕はツアー中はFEVERの西村さんと一緒に、mutesiteのメンバーの家に泊まらせてもらったんですね。そこでも、自分も西村さんも午前中はお互い仕事をやっていました。

朝9時ぐらいに起きて、ライブ会場に向かうの準備を始める12時ぐらいの間までは、ひたすら2人とも黙って仕事。Wi-Fiさえ使えればお互い仕事できるんで。そこで自分はフェンダーの仕事、西村さんはライブハウスの仕事をひたすらやってると。

僕は結構それっていいなと思っていて、これはこれでしっかりした大人の、ひとつの海外ツアーの形なのかなと思いました。なので、こういう姿勢があればどこでも仕事はやってけるんじゃないかなと思います。

最後、3番目。
自分では出来ないこととか、苦手なことというのは、積極的にお金を使って仲間内の仕事ができる人に回していく、っていうことですね。

たとえば自分は、デザインとか一切できないですし、絵心ゼロです。フォントとかレイアウトするのも非常に苦手なので、そういうのはお金払って周りの友達にお願いする。

あとはビザの取得ですね。こないだのラウドネスのこともあって、少し敏感になってきているのかなという気もするけど、こういうビザ取得もアウトソーシングしています。仲間内でお金を循環させるということにもなるんで、これは積極的にやっています。

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※西氏のスライドより抜粋

ちょっと、こんな感じで長くなりましたが、少しでも皆さんのバンド活動の際の参考になれば嬉しいです。
で、最後にあえて言うならば、

「LIFE IS TOO SHORT, ENJOY YOUR BAND DAYS」

ということです。ありがとうございました。

(西氏のトーク内容書き起こしここまで)


※会場:cafe & hall ours
※開催日:2017年7月12日
※主催・モデレーター:鈴木 哲也(oaqk/Penguin Market Records副代表/ ヤフー株式会社)
※取材・撮影・レポート:佐野匠